褥瘡の処置に効き目がある市販薬はあるか

褥瘡は、段階に応じて適切な外用薬を用いなければ、その効き目はみられません。状況に合わせて効果的な外用薬を使わなければ反対に症状を悪化させてしまう原因にもなります。
特に、褥瘡部分の傷の深度と壊死細胞の有無、創部表面の乾燥と滲出液の量を目安に、効き目のある外用薬を併用して、症状の改善に応じて薬も変えていくようにしましょう。
在宅看護や介助を行っている人は、外用薬の効果を理解しておけば、褥瘡がひどくなる前にケアしてあげることもできます。


○褥瘡に効く市販薬は
褥瘡は、一見しただけではその状態を正しく把握することが難しく、医師の診察のもとで褥瘡の深度や創表、ポケットの有無などをしっかりと判断してもらったほうがいいでしょう。
一般的によく用いられている市販薬の中でも、ただれ・火傷に効くされているものは、初期の褥瘡の症状と似ているので使用しても差し支えないと思われがちです。しかし、実際に褥瘡ではなかった場合(他の皮膚炎を起こしている可能性もある)、誤った効用の外用薬を用いても、一向に良くならないという事態が起こりえます。

●効き目のありそうな市販薬をすぐに塗布しない
薬用成分量によって、処方薬または市販薬の別がありますが、発症してしまった褥瘡は、まず皮膚の乾燥と局部の圧迫条件を除き、水疱も無理につぶしたりせずにそのまま様子を見てみましょう。発赤がおさまって改善することもあります。過敏になって、思い込みで薬をいろいろと試してみたり、重ねて塗るのはよくありません。

 
○褥瘡予防に効果的な市販薬 白色ワセリン
ドラッグストアにもおいている「白色ワセリン」は、薬用成分こそ含有していませんが、皮膚の乾燥を防ぎ刺激から肌を守る効果があるとして、医療現場でも使用されています。乾燥が進んでうるおいが不足している皮膚は、傷を起こしやすく刺激に弱いという特徴があります。外的刺激を受けて皮膚がめくれ、その傷を修復しきれないまま圧迫やこすれが起こると、さらに傷は悪化します。
白色ワセリンは、その成分が石油であることから使用することに不安を感じる患者や家族もいるようです。しかし、白色ワセリンは、不純物を取り除いたことで白く変化し、何度も濾過しているので安心です。
入浴後など、皮膚に水分が浸透して蒸発してしまう前に、乾燥が気になる部分に塗付しましょう。創傷分を外的刺激から守るバリア機能と、うるおいを閉じ込めて蒸発を防ぐ効果があります。
褥瘡を発見したら、全身観察を行ってからどのくらいの時間が経過したかを記録し、どの程度進行しているかを医師に判断してもらって外用薬を用いるのが理想です。
褥瘡のような傷を見慣れていない介護者は、その皮膚状況に驚くこともあるでしょう。治してあげたい一心と自己判断で、不用意に市販薬を使って治癒を試みるのはお勧めしません。
薬は用法と容量を正しく知ることで、効き目を高めます。以前使用した薬に耐用が起こる場合もありますので、在宅・入院問わず、発生した褥瘡を医師に診てもらうようにしましょう。