褥瘡予防のためのマニュアル作成に大切なのは

入院患者の褥瘡発生率を抑えるには、その施設全体で褥瘡を予防するという意識を高く持つことが大切です。看護師や単人医師レベル、また各科病棟レベルで褥瘡への関心が異なっていると、それぞれの病棟で処置を行う頻度、処置の工程に大きな差がでます。
何より、褥瘡は一度発症すると治癒までに相当な時間を要します。結果として長期入院患者が増え、ケアの工程や処置箇所を増やすことになってしまいます。
そこで、医療施設によっては、褥瘡予防マニュアルを作成し、全関係者に共通意識を持たせるという取り組みをしているところもあります。


○発生要因を評価してリスクに備える
入院し治療を行う患者は、それぞれに身体状況が異なります。褥瘡を予防するために、入院患者全員に同じ処置やケアを施すことは、時間的・設備的・人員的に無理が生じますし、効率も悪くなります。そのために判断基準を用いて、褥瘡発症リスクが高い人を中心にしてケアを施すことが大切になります。

 
●OHスケールで褥瘡発生要因を評価
一定の基準があれば、施設全体がその基準に沿って褥瘡リスクのレベルを判断することができます。多くの施設で採用しているOHスケールは、「病的骨突出」「浮腫」「関節拘縮」「意識状態(低下)」の4因子をもとにして、臨床的に患者の状態を判断することができる、分かりやすい判断基準です。
在宅ケアを行う高齢者施設や、広域支援機関なども、このOHスケールを採用することで、共通認識をもって異なる施設や提携医療機関などと褥瘡ケアができるようになりました。

 
●軽度・中度・高度で分類 シンプルなマニュアル
褥瘡の発症リスクを判断するためには、危険レベルを大まかなラインでわかりやすくリスク評価をする必要があります。
OHスケールマニュアルを用いた評価では、4つの発生要因それぞれを三段階(または二段階)評価して、さらにその段階に応じた点数の合計で、全体的な褥瘡発症リスクを数値化します。

 
○OHスケールを用いたそれぞれの褥瘡予防対策
発生危険度を探るためのOHスケールを用い、点数評価した場合に行うべき看護計画の内容は以下のようになります。

 
●体位変換
総合的な点数が高いほど体位変換の時間サイクルは短くすべきです。中でも「関節拘縮」が高度の患者は、血流不足と骨突出部の圧迫がひどくなる傾向があります。寝具と合わせてクッションを利用しながら、全身の圧迫除去をするように意識しましょう。

 
●頭側拳上のずれ
体を起こすためのベッド操作をするとき、自動モーターを使った拳上は特に腰部、臀部のずれ力が大きくなりがちです。体の傾きとずれを見ながら拳上できるように、手動で起こすことができるベッドが理想的です。