褥瘡は主に、血液循環の不良が原因となって発症する創傷です。寝たきりの状態が長く続く、局所を圧迫することによって、体圧加重がかかり、その部分の血流が阻害されると、皮膚に必要な血液が不足して発赤や水疱などの症状が現れます。
これが褥瘡の初期症状です。原因がわかっていれば、どのように褥瘡の原因を取り除きケアしていけばよいかがわかります。
○健常な身体の場合
特定部位の病気や怪我を治療する目的で手術、装具固定をする必要がある入院患者は、痛覚や血流に身体的問題は生じません。長く床に伏した状態が長くなると、全身に褥瘡リスクが起こります。特に注意したいのが、体の骨が突出している部分です。
長く体勢を動かせない状態が続くと、しびれや圧迫痛を感じます。この痛みを恒常的に感じるような体位は、褥瘡の原因となるポジションと考えてよいでしょう。直接寝具が当たらないように、体圧分散のマットやクッションを用いて、接触面への圧力と衝撃を和らげる必要があります。
○麻痺や疾患によって感覚反応がない場合
身体機能の欠陥や欠損(脊椎損傷などで神経系疾患がある場合)は、痛みを感じる箇所と感じない箇所があります。
また、重篤な急性機能不全などで集中治療を必要とする患者の場合は、生命維持が最優先となり、体位変換などの褥瘡ケアが制限されることもあります。
集中治療を要する状態の患者は、循環機能が不安定になったり、あえて血管収縮作用のある薬剤を投与することも考えられます。すると皮膚への血液循環が低下しますので、特に下腿部では圧迫の強弱にかかわらず褥瘡を引き起こすリスクが上がるのです。
○褥瘡のおこりやす場所を知る
臥床位で加重がかかる場所の代表例が仙骨部分、肩甲骨部分、足のかかと部分。体の中でも骨が突出し、また脂肪層や筋肉が少ない箇所は、骨にかかる体圧を和らげるクッションの役割をする層がありません。
圧力がダイレクトに皮膚を傷め、また体を少し動かしたときにも、ずれやこすれの力がそのまま皮膚に伝わります。
○血液循環を促し褥瘡に強い皮膚を作る
通常の生活の中でも、骨と皮膚が近い(脂肪や筋肉が少ない)場所を打ち付けたり、擦ったりすると、骨にまで響くような痛みを感じるでしょう。皮膚の血流循環が悪くなると、皮膚の乾燥が進みやすくなり、外からの刺激に弱くなります。
保湿剤を用いて皮膚のバリア機能を高めるようにします。また、褥瘡のおこりやすい部分を広くマッサージし、血流を促すように心がけましょう。