感染症にかかると、それまで献上だった人でもあっという間に体調不良に陥ります。原因をきちんと特定し、感染しているウイルスや細菌にあった抗生物質で感染源を撃退しなければ、速やかに快方に向かうことはありません。
健康に過ごしていた人ですら、たちまち体内の調子を狂わせて炎症反応をおこす感染症。治療中の患者さんや、体力の低下が認められる高齢者、子供が感染すれば、健常な大人が発症するよりもずっと症状が重くなることは容易に想像できるでしょう。
○炎症の程度で敗血症は見抜けない
看護や介護を担っている人は、患者の体の状態を常によくする方向に向かわせようとケアしますね。仮に少し創傷部が悪化すれば、その傷をよくするために処置を行います。
ただ、単に処置をするだけでは敗血症を防ぐことはできません。傷の具合だけではない敗血症ならではの兆候が表れたかどうか、これは全身的な症状に気を配る必要があるからです。
●炎症状態も常にケア 看護の方法
看護をしている途中、患者の体調変化は起こり得ることです。すこし倦怠感がある、体のある部位が痛む…という患者の訴えは軽視することはできません。
しびれ・痛みを感じたり体が重い・だるいという感覚があったりする状態は、患者に何かしらの負荷がかかっている場合があります。
もちろん睡眠が足りなかった、栄養が十分に取れていないという原因もありますが、褥瘡や手術傷などの創傷箇所がある人なら、最も注意しなければならないのが全身性炎症症候群(SIRS)です。
●SIRSの診断基準と敗血症
敗血症は、感染した菌が血流に乗って全身に蔓延し、炎症を起こすことによって発症します。体全体が感染源の菌に侵されて身体機能を低下させてしまうこの敗血症に、いち早く気づくことができれば、対処も早く行うことができます。
一見して小さな体の傷が感染の入り口となることもあります。傷の大きさだけではなく、その傷の表面や皮下組織が細菌に感染して悪化しないようなケアを行いながら、SIRSの診断基準に沿って体調変化と経過に注視しなければなりません。
○敗血症になる前に炎症を食い止める対処を
全身性炎症症候群と診断するには、体温の変化や脈拍、呼吸数、白血球数の変化に素早く対応することが望ましいといわれています。
頻呼吸や血圧の低下、急な体温上昇という症状は、定期的な看護の中で毎回行う経過観察です。少しの変化を見落とさず、大したことはないだろう・そのうちまたよくなるだろうと観察を続けていると、急激に症状は悪化してショック状態を起こし、他の臓器にまで影響する可能性が高まる恐ろしい症状です。
日頃の看護の重要性と危機管理を常に持ち続け、SIRS判断基準に沿って少しの変化も見逃さないこと。これが敗血症の予後治療にもつながります。