床ずれが痛い場合の患者と創部ケア

床ずれが起こると、発症時や処置をする時に痛みを伴います。創傷部を早く発見するためには、患者が訴える痛みをきちんと理解しておくことが大切です。
また、必要だとはいえ処置を行う時は、出来る限りやさしく、創傷部分を広げないように心がけましょう。


○皮膚の神経を刺激する床ずれを早く見つける
体の圧迫箇所が床ずれを起こすと、ひりひり・ピリピリという表現を用いて痛みを訴える場合が多くなります。発赤した床ずれは、皮膚の摩擦や圧迫による虚血がきっかけとなって起こる初期段階です。
この時に除圧をしたり、外用薬で赤みを取ったりすることができれば、深部に褥瘡が及ばずに早期治癒が実現する可能性が高まります。
ただ、傷の大小だけで床ずれの状態を確認する事は難しく、創傷が小さいけれど深さが真皮以下に達しているというケースもあります。
皮膚組織の深い所まで瘡状態が進行すると、治癒までに時間がかかってしまいます。また、表面を見る限り快方に向かっていると思われたその奥で膿が貯まり、ポケットが大きくなってしまうという状態にもなりかねません。

 
○ズキズキする床ずれの痛みは慎重にケアを
外傷レベルでとどまっている床ずれは、皮膚の摩擦を避けて外用薬で処置すれば治る事もあります。しかし、その痛みが中からズキズキと痛む・脈打つように疼くという様な疼痛に変わったら、皮膚の奥深くに褥瘡が進行して化膿が進んでいる場合が多いです。
この場合、膿をきれいに除去して外用薬を塗布し、ドレッシング材を用いて創傷箇所の滲出液をきちんと覆う処置が必要になります。

 
●ドレッシング材交換の際に痛むなら
ドレッシング材の貼り替えをする時には、どの段階でどんな痛みが有るかを把握しておくべきでしょう。傷口からはがす時、創の周りを触った時、ドレッシング材を剥離する時、創の洗浄をする時、処置をするために体位を変えた時…など、痛み具合と痛み方がその時々で異なるでしょう。
痛むタイミングと痛み方を明らかしておけば、その原因を探りやすくなります。改善すべき点が明確になるため、ペインコントロールがしやすくなるでしょう。

 
○痛い感覚を理解してケアする
患者にとって痛みが付きまとう毎日を過ごすのは非常にストレスを感じます。頻回に処置が必要だとわかっていても、毎回行う処置が痛くて辛いものであれば、「また痛い思いをしなければならない」という恐怖感に変わります。痛みを恐れる気持ちが、痛いという感覚を鋭くしてしまう場合もあるので、注意が必要です。
炎症がひどい床ずれは、処置後もしばらく痛みが続く事があります。その場合は、鎮痛剤を処置の前に使用することも検討して良いでしょう。