褥瘡は、その損傷度に応じて一定の指標を以ってステージ分けされています。一般的に知られているのは「DESIGN-RⓇ:褥瘡経過評価」です。これに表記されている創面の各評価を行い、総合的な視点でケアをしていく必要があります。
○見た目だけでは判断できない褥瘡
一見したところ、傷も大きくないからさほど深刻な褥瘡ではなさそうだ・・・という見ための判断が最も危険です。褥瘡の判断を行う基準を示したDESIGN-RⓇに沿ってそのポイントを観察ケアしていきます。
○褥瘡経過評価の内容
褥瘡のステージを示すには、まず観察・ケアすべきポイントによって7つに分類されています。創内の深さを表すd(Depth)、滲出液を表すe(Exudate)、大きさを表すs(Size)、炎症や感染を表すi(inflammation)、肉芽組織が創面を示す割合を表すg(granulation)、壊死組織の有無と状態を表すn(nerotic tissue)、そしてpのポケットです。
●損傷の大きさと深さ
評価の中でも、一番に評価材料となるのが深さです。この深さは表皮だけのものかまたは真皮にまで到達している褥瘡レベルかということを意味します。発赤が持続状態でd1、真皮まで損傷していればd2、皮下組織の損傷はd3・・・と重症化すると数値が上がり、その程度が一目出来るように設定がされています。この深さが深ければ、その分治癒までに時間を要する重症の褥瘡という事になります。また、損傷の範囲を測定し、長径とそれに直交する径を掛けて導く大きさが、大きければ大きいほど治癒に時間がかかります。そして大きい損傷個所の病状が一定ではなく、一部はひどく進行して壊死が始まっていたり、肉芽も良性のものと悪性のものが混ざっていたりという状況は珍しくありません。損傷個所が大きいほど、創面の評価も難しくなり、一定のケアだけではクリアできないのが褥瘡の治癒を長引かせる原因とも言えます。
○感染や炎症と滲出液
滲出液が出る場合、その生成に影響がある項目をステージに応じて検討し、滲出液評価を行います。創面に明らかな感染の兆候があれば、患部や滲出液に不快なにおいを確認するようになります。(I3ステージ)創面は常に何かしらの菌が存在しますがしかし、その細菌がどのような状態であるかを評価して、適切に処置を行っていかなければ、患部の炎症や感染が改善されずに、深部にどんどんと感染が広がり、ついには壊死細胞となってしまいます。特に、滲出液はその色味や粘度によっても細菌の特性が現れますし、創面の状態は日々一刻と変化をしています。ケアや処置の合間に必ずドレッシング材の状態を確認し、患部現状をきちんと把握することが大切です。