寝たきりから腰痛を発症 痛みが起こす問題と対処について

人は誰でも必ず睡眠時間が必要です。睡眠を取るために取る「寝た状態の姿勢」は、体を休めて活動していた時の疲れをいやすためにとても重要かつ必要です。しかし、入院患者や体の不自由な人にとって、寝ている姿勢つまり「安静臥床」は日常生活の大半を過ごす姿勢となります。ベッドの上の安静臥床が引き起こす腰痛や、筋力低下・関節拘縮は、その後の日常生活を送るためにとても深刻な問題となることもあります。寝たきりの患者の腰痛を軽減するために、どんな対策があるでしょうか。

○年齢・症状に関わらず起こる腰痛

寝たきりの姿勢(安静臥床)が長くなると、ほとんどの人が腰痛を引き起こします。人間の体は背骨(脊柱)のS字曲線で、二足歩行を可能にする身体構造をしています。上半身の重さを湾曲した脊柱と安定した骨盤で支え、なめらかに二足歩行できるようになっているのです。そのS字カーブは、寝た姿勢が長時間になるとフラットなベッドの面に押しつけられる形となり、平らな面に密着しているところから周辺筋肉が硬直し始め、血流が悪くなってしまうため痛みを感じるようになります。これが、臥床の引き起こす腰痛です。

●安静臥床を強いられる患者は深刻な問題に

寝た姿勢が常となる入院患者や、身体機能の低下が激しい高齢者は、必然的に安静臥床が長くなります。すると、「動かせば痛みを感じる」というきっかけから、その痛みを感じないように腰をかばい始めます。なるべく動かさず痛みを引き起こさないようになってしまうのです。必要以上に腰をかばい続けると、筋肉の緊張や血流の悪化は更にひどくなります。そして更に発痛物質が増え、寝た姿勢から体勢を動かしづらくしてしまいます。この間にも関節はこわばりやすくなり、筋力も低下し続けます。結果として自立した生活とは反対に、自由が利かなくなる体になってしまう可能性が高くなります。

○腰痛を緩和するための対処法

痛みをなるべくやわらげ、また動かすと痛みを感じる状態から抜け出すためには「同じ姿勢を取り続けない工夫」が何より大切になります。

●痛みを感じる前に体位を変える

安静こそ最大の治療となる場合が入院シーンでは多く見受けられますが、絶対安静でない限り、こまめな体位変換を取り入れるべきです。タオルやクッションを使って、寝たきりの人が楽だと感じる姿勢に数時間おきに変えて上げましょう。特に肘の下や膝の裏に枕やクッションを敷いて、足や腕を軽く曲げた姿勢を作ってあげると、圧迫箇所を少なくすることができます。

●軽い痛みは動かして解消

痛いというのは、本能的に避けたくなる経験です。しかし、安静臥床による腰の痛みは、軽いうちに動かすことで解消できる場合が多くあります。慢性的な腰痛になる前に、体調を見ながら臥床から座位に少しずつ移行して、全身の筋肉を動かして血流を良くするようにしましょう。