褥瘡を予防するために必要なこととは

ベッドのマットや布団、車いすなどに体が接触する部分は、長時間圧迫された状態になり血行が悪くなります。この状態が褥瘡をおこす元になります。皮膚や皮下組織、筋肉を長い時間圧迫すると、血流不良から栄養や酸素が充分にいきわたらないため、圧迫周辺の細胞が壊死してしまうので、この原因と付随する環境を改善する必要があります。

○まずは注意を以って観察すること

床ずれは、どの程度時間が経てば起こるかというレベルが個人個体によって違います。一定のガイドラインや目安はありますが、特に骨が突出している箇所には注意が必要です。入浴時やおむつ交換の都度、圧迫されやすい部分を中心に全身の観察を行います。もし、皮膚に赤みが生じている箇所があったらまずは体位を変えて圧迫を回避します。およそ30分程度時間を置いて再び観察をした時に赤みが引いていなければ、褥瘡を生じているかもしれませんので、褥瘡レベルを見てケアするようにしましょう。

○体圧分散ケア

寝たきりや、痩せ、骨の突出、関節拘縮は、直接的な褥瘡の原因となります。骨が突出した部分の体圧を分散するようにしましょう。圧迫予防を行う上で大切なのは、寝たきりや車いす患者それぞれに合った体圧分散シング(マットレス)を選んで使用することです。マットに体が十分沈み込んで、骨の突出部がマットと接触する面が広がるようにすると、除圧・減圧することができます。エアマットレスやウレタンマットレスなど、素材にも色々ありますが、きちんと体が沈みこむように、いずれも7センチ以上の厚みがあるものを使用します。

○体位を変える

車いすを使用している患者には、座る姿勢にまず気をつけましょう。股関節と膝関節、そして足を置くステップがそれぞれ90度の姿勢を維持できるようにします。仙骨部分が当たらないようにするために、面積がひろい大臀前部で上半身を支えるようなイメージで座ることができると、床ずれも生じにくくなります。しかし、長時間座ったままの姿勢を取ると、股関節部分から大腿部の座面に接している箇所に血行不良が起こります。15分に1度のペースでお尻を持ち上げるようにしましょう。そして、車いすの使用は1時間以内にしておくのがベターです。

○オムツを効果的に使い清潔に

おむつを使う寝たきり患者には、体にあったものを選びます。締めつけが強い小さめのものは肌と密着して湿度が高くなり、皮膚がふやけやすくなります。便や尿の汚れが刺激となって皮膚炎を起こしやすくなるので、吸湿性・吸水性に優れたものを使いながら、汚れたらこまめに取り換えるように心がけましょう。