体に何らかの異常がある人、また病気をしやすいひとの体は、触ってみると実際に冷えていることが少なくありません。
介護を要する寝たきりのご高齢者や、体のどこかに痛みを感じている人は、体全体の冷えまたは局所に冷えが生じます。
「冷え」という概念は、本来東洋医学の象徴のようなもので、中でも代表的な漢方では、体の形作りの一つとしてとらえられています。
○体の改善要素「気」「血」
気は、一種の生命エネルギーです。気が正常な状態、つまりは正しく活動している状態を正気(しょうき)といい、不十分な状態は病気(びょうき)と言います。
『病は気から』という言葉もありますが、この気が満たされていないと、たとえば体の稼働域が狭まり不自由を強いられている状態から、心も沈んでしまってやる気が起きません。この状態を「気虚」といいます。
体をめぐっている血は正気を保つために栄養を運びます。気と血は密接な関係があり、これが足りなかったり滞ったりすると、体温が下がってしまい、活動が鈍るのです。
○体の改善要素「水」
東洋医学では、体のなかをめぐる透明なものを「水」と呼びます。「血」は漢方で赤いものを表し、血と水が体の老廃物を運び、気の流れも良くするものと捉えられています。
水が滞ればむくみになります。また体液のリンパの流れが悪くなるので、免疫力が下がり、各所に炎症を起こしやすくなります。
○西洋医学での血流の捉え方
体内をめぐる血液は、体の隅々に栄養素や酵素を運ぶ重要な役割をしています。また、同時に老廃物を回収して、不用なものを体の外に排出する役割も担います。
体の各部分ではそれぞれ、酵素や栄養分を元に、必要な合成や分解をおこないますが、その時に熱を発します。
キズの回復や消炎は、自己免疫機能が働くことで起こりますが、健康な体をつくるための一環として体が本能で行う活動です。正常に血流が良い状態が保てれば、免疫機能が高く、皮膚等の外部や消化器官内部の活動も活発になり、自然治癒力が高まります。
もし血流が悪い状態が続くと、自己免疫力も低下し、体温が下がるために体内酵素が充分に働かずに機能低下を起こす・・・という負のスパイラルに陥ってしまいます。
そのため、ついには体の各所で炎症や痛みを引き起こし、次第に稼働意欲も失われて病気がちになり、自立した生活を送りづらい環境を作ってしまう事になります。
血流が悪く、顔色が良くない・手や足先、幹部が冷たいという場合は、積極的に血流を改善する工夫を取り入れるように心がけましょう。たかが血流改善で・・・と思われるかもしれませんが、長く続けることで自己免疫力と回復力を取り戻し、気もはつらつとして意欲的な面を取り戻すきっかけとなるでしょう。