代謝を行う組織や細胞が正常に作用しなくなっている状態を「代謝障害」と言います。
代謝障害は、代謝関係物質が沈着するといった異常物質による変性によって起こるものと、組織や細胞の機能が低下して起こる退行性病変のものがあります。
床ずれは「退行性病変」による代謝障害が原因?
代謝障害は組織や細胞が変性していることが考えられます。
変性の原因は、体内の酸素が不足して循環機能に障害が生じている場合、栄養不足、病原体への感染、化学物質や薬剤の影響、外傷、免疫異常、老化などが考えられます。
組織や細胞が凝固、液化、遺伝子などによって壊死している場合や、加齢や栄養不足、圧迫などによって容積や数が減少することでも退行性病変による代謝障害は起こります。
代謝障害改善のためには必要な栄養素の補給を
代謝障害の場合、回復するために必要な栄養素が揃わなければ治すことができません。
組織や細胞に異変が生じている状態なので、正常な肉芽組織を形成するためにはたんぱく質(アミノ酸)が必要です。
アミノ酸がペプチドを結合し、たんぱく質が合成されることによって肉芽組織を形成します。
アミノ酸の作用
アミノ酸にも色々な種類がありますが、床ずれを治すために必要なのは体内で合成されない必須アミノ酸である分岐鎖アミノ酸とアルギニンです。
本来であれば糖がエネルギーとして利用されますが、その代わりに筋たんぱくが分解されてしまうと床ずれを治すために必要になるたんぱく質が不足します。
分岐鎖アミノ酸は、骨格筋でエネルギー基質として優先的に利用される成分ですので、たんぱく質の合成を促し床ずれ治癒を促進する作用があります。
一方アルギニンには血管拡張作用や細胞増殖促進作用、免疫細胞賦活化などの働きがあるため同じく床ずれ治癒を促進します。
体温を上げれば代謝も上がる
低体温の人などは体温を上げることで代謝を高めることができます。
体温を上げるためには、ウォーキングなどの有酸素運動を行うことが望ましく、これによって交感神経と副交感神経のスイッチ切り替えを促します。
筋肉量が少ないと熱の産生量が少なくなるので、筋肉量を上げることも必要ですが、寝たきりの場合や歩行が困難で運動ができない状況の場合もあるでしょう。
その場合には、マッサージなどによって血流を促すようにすると効果が期待できます。
代謝を上げて免疫力の向上を
代謝障害が改善されれば肌の調子や血流が良くなりますので床ずれの改善を促すことができます。
代謝を上げるには必要な栄養素をしっかりととり、体温を上げるために筋肉を増やすことが大切です。
必要な材料がそろって整備された道であれば自動車はスムーズに走行できます。それと同じで必要な栄養素をそろえて治癒に向かう環境整備をしてあげることが必要になります。